超純水
超純水は、水中の不純物を極限まで除去した最高純度の水で、半導体製造、医薬品製造、精密機器洗浄などで不可欠な存在です。
導電率や有機物、微生物、微粒子、溶存ガスなどの管理項目が極めて厳しく、高度な水処理技術と厳密な品質管理が必要とされます。
超純水の使用により、製品の品質向上や不良率の低減、生産効率の向上が期待できます。
超純水とは
超純水は、水中のイオン、微粒子、有機物、溶存ガス、微生物などのあらゆる不純物を可能な限り取り除いた、極めて純度の高い水です。理論的には純粋なH₂Oのみで構成されることを目指し、その純度は一般的な純水や精製水をはるかに上回ります。
超純水の特性
超純水の主な特性は以下の通りです:
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極めて低い導電率
- 純粋な水は電気を通しにくく、超純水の理論的な抵抗率は18.2 MΩ・cm(25℃)で、導電率は0.055 μS/cmに近づきます。 低TOC(全有機炭素)値
- 有機物の含有量が極めて少なく、TOC値は1 μg/L(ppb)以下が求められます。 微粒子・微生物の極小化
- 微粒子や微生物の数を極限まで減少させ、微粒子数は0.1 μm以上の粒子が1 mL中に1個以下、微生物数は1 CFU/100 mL以下が目標です。 溶存ガスの制御
- 溶存酸素や二酸化炭素、窒素などのガス成分も除去または管理されます。
超純水の必要性
超純水が必要とされる理由は以下の通りです:
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製品品質の確保
- 半導体や電子部品製造では、微小な不純物が製品の不良や性能低下を招くため、超純水が不可欠です。 プロセスの信頼性向上
- 高純度の水を使用することで、製造プロセスの安定性と再現性が向上します。 汚染の防止
- 微生物や有機物による汚染を防ぐことで、製品の安全性と品質を維持します。
超純水の製造プロセス
超純水を製造するためには、以下のような高度な水処理技術を組み合わせます:
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前処理
- 砂ろ過・活性炭ろ過:原水中の浮遊物質や有機物、塩素を除去します。 膜分離技術
- 逆浸透膜(RO膜):イオン、有機物、微生物を高い除去率で取り除きます。 イオン除去
- イオン交換樹脂:水中の残留イオンを除去し、導電率をさらに低減します。
- EDI(電気再生式イオン交換):イオン交換と電気透析を組み合わせて、連続的にイオンを除去します。化学薬品を使用せずに再生が可能です。 有機物・微生物の除去
- 紫外線酸化分解装置:深紫外線(185 nm)を照射して、有機物を酸化分解し、TOC値を低減します。
- UV殺菌装置:殺菌用紫外線(254 nm)を照射して、微生物を不活化します。 微粒子の除去
- 超精密フィルター(UF膜、MF膜):微粒子や微生物を物理的に除去します。 溶存ガスの除去
- 脱気膜装置:真空や不活性ガスを利用して、溶存酸素や二酸化炭素を除去します。
超純水の用途と重要性
超純水は以下の分野で重要な役割を果たしています:
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半導体・電子部品製造
- ウエハーの洗浄工程で使用され、不純物の付着を防ぎ、高集積化・微細化を支えます。 液晶・有機ELパネル製造
- パネルの製造過程での洗浄やプロセス液の調製に用いられ、表示品質の向上に寄与します。 医薬品・バイオテクノロジー
- 注射剤、点眼剤、培地の調製など、高度な無菌性と純度が求められる用途に使用されます。 光学機器・精密機械
- レンズや精密部品の洗浄により、製品の性能と信頼性を確保します。 研究・分析分野
- 高度な分析機器や実験において、試薬や試料の純度を維持するために不可欠です。
超純水システムの設計と管理
超純水の品質を維持するためには、システム全体の設計と厳密な管理が重要です:
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配管・貯槽の材質選定
- ステンレススチール(SUS316L)や高純度樹脂(PFA、PVDF)を使用し、溶出や吸着を防止します。 循環供給システムの構築
- 超純水を常に循環させ、滞留による微生物増殖やパーティクルの発生を防ぎます。 水質モニタリング
- オンライン計測器を用いて、抵抗率、TOC、粒子数、微生物数などをリアルタイムで監視し、異常を早期発見します。 設備の定期メンテナンス
- フィルターや樹脂の交換、紫外線ランプの点検・交換、配管の洗浄・殺菌などを計画的に実施します。 微生物対策
- 定期的な熱水殺菌やオゾン殺菌を行い、バイオフィルムの形成を防止します。
超純水の課題と対策
超純水の製造・管理には以下の課題があります:
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コストの問題
- 設備投資や運用コストが高いため、効率的なシステム設計やエネルギー消費の削減が求められます。 環境負荷
- 大量の洗浄水や廃水が発生するため、リサイクルシステムの導入や廃水処理の最適化が重要です。 技術者の育成
- 高度な技術と知識が必要なため、専門技術者の育成と教育が必要です。
まとめ
超純水は、極限まで不純物を除去した最高純度の水であり、先端技術産業の基盤を支える重要な要素です。高度な水処理技術と厳密な品質管理により、製品の品質向上や生産効率の向上に大きく寄与します。今後も技術の進歩とともに、超純水の需要と重要性は増大すると考えられます。