シックナー

シックナーは、スラリーや懸濁液から固形物を濃縮し、上澄み液を分離するための装置です。

重力沈降を利用して固液分離を行い、産業廃水処理や鉱業プロセスなどで広く使用されています。

シックナーとは何か

シックナーは、スラリーや懸濁液中の固形物を濃縮し、清澄な上澄み液(オーバーフロー)と濃縮された泥状物質(アンダーフロー)に分離する装置です。主に重力沈降を利用して固液分離を行い、大規模な処理量に対応できます。

シックナーの原理と仕組み

シックナーの基本的な動作原理は以下の通りです:

    重力沈降
  • スラリーをシックナーの中央部から投入し、粒子が重力により沈降します。粒子の大きさや密度によって沈降速度が異なり、微細な粒子は沈降が遅くなります。
  • 凝集剤の添加
  • 微細な粒子の沈降を促進するために、ポリマー系の凝集剤を添加します。これにより粒子同士がフロックを形成し、沈降速度が向上します。
  • スクレーパーによる泥の集積
  • シックナーの底部にはスクレーパーが設置され、沈降した泥を中心部に集めて排出します。これにより、濃縮されたアンダーフローが得られます。
  • 上澄み液の回収
  • 上部から清澄な上澄み液をオーバーフローとして回収します。この液は再利用や放流が可能です。

シックナーの種類

用途や処理物質に応じて、さまざまなタイプのシックナーが存在します:

    通常型シックナー
  • 一般的な重力沈降式のシックナーで、大規模な処理量に対応します。
  • 高効率型シックナー(ハイレートシックナー)
  • 内部に傾斜板やチューブを設けて沈降面積を拡大し、コンパクトな設計で高い処理能力を持ちます。
  • 超高効率型シックナー(ウルトラハイレートシックナー)
  • さらに高度な設計により、より高い処理能力と濃縮性能を実現します。
  • 傾斜板型シックナー
  • 多数の傾斜板を内蔵し、沈降距離を短縮して効率的な固液分離を行います。

シックナーの用途と活用例

シックナーは多くの産業分野で活用されています:

    鉱業プロセス
  • 鉱石の選鉱工程で、鉱泥から水を分離し、濃縮された鉱物スラリーを得ます。上澄み液は再利用され、水資源の節約に貢献します。
  • 産業廃水処理
  • 工場排水中の懸濁物質を除去し、処理水の品質を向上させます。濃縮された汚泥は適切に処理・処分されます。
  • 下水処理
  • 下水処理場で発生する汚泥を濃縮し、後続の脱水処理の効率を高めます。
  • 紙パルプ工業
  • パルプ製造過程で発生する繊維スラリーを処理し、水と繊維を分離します。

シックナーの設計と運用上のポイント

シックナーを効果的に運用するためのポイントは以下の通りです:

    適切なサイズ設計
  • 処理量やスラリーの特性に応じて、シックナーの直径や深さを最適化します。過小設計は処理効率の低下を招きます。
  • 凝集剤の最適化
  • スラリーの性質に合わせて、最適な種類と量の凝集剤を選定します。ジャーテストを用いて最適条件を見つけます。
  • 沈降速度の把握
  • スラリー中の粒子の沈降速度を測定し、処理能力の計算に反映させます。実験データに基づく設計が重要です。
  • スクレーパーの適切な運転
  • スクレーパーの回転速度やトルクを調整し、沈降した泥を効率的に回収します。過負荷運転は機器の故障につながります。
  • 堆積物のモニタリング
  • シックナー内の泥層の高さを監視し、適切な排出を行います。過剰な堆積は処理効率を低下させます。

まとめ

シックナーは、スラリーや懸濁液の固液分離・濃縮に不可欠な装置であり、産業プロセスの効率化と資源の有効活用に大きく貢献します。その原理や種類、設計・運用のポイントを理解し、適切に活用することが重要です。