フミン酸・フルボ酸

フミン酸とフルボ酸は、土壌や水中に存在する天然の有機化合物であり、腐植物質の主要な成分です。

これらの酸は、水の色やにおい、味に影響を与え、水処理においては除去が必要となることがあります。

また、フミン酸・フルボ酸は、消毒過程で有害な消毒副生成物(トリハロメタンなど)の前駆物質となるため、水質管理上重要です。

フミン酸・フルボ酸とは何か

フミン酸とフルボ酸は、有機物の分解過程で生成される腐植物質の一種です。これらは主に植物の遺骸や微生物の代謝産物が長期間にわたって分解・再合成されることで形成されます。腐植物質は、土壌や水中に広く存在し、その中でもフミン酸とフルボ酸は化学的特性や分子量の違いにより区別されます。

    フミン酸
  • アルカリ性の水溶液に溶けますが、酸性条件では不溶性となります。高分子量で、褐色から黒色の色を呈します。
  • フルボ酸
  • 酸性・アルカリ性問わず水に溶け、分子量はフミン酸よりも小さいです。黄色から茶色の色を持ちます。

フミン酸・フルボ酸が水質に与える影響

これらの酸は、水質にさまざまな影響を及ぼします:

    水の着色
  • フミン酸・フルボ酸は水に溶けて黄色や茶色の色を付けます。これは水の見た目を悪くし、飲料水としての品質を低下させます。
  • 味やにおいの発生
  • これらの有機物は水に独特の土臭さや苦味を与えることがあります。
  • 消毒副生成物の生成
  • 水道水の消毒過程で使用される塩素と反応して、トリハロメタン(THMs)などの有害な消毒副生成物を生成する可能性があります。
  • 金属イオンとの錯形成
  • フミン酸・フルボ酸は金属イオンと強く結合し、金属の溶解度や移動性を変化させます。これにより、水中の重金属汚染の挙動に影響を与えます。

フミン酸・フルボ酸の除去方法

水処理において、これらの酸を効果的に除去するための方法はいくつかあります:

    凝集・沈殿処理
  • アルミニウムや鉄の凝集剤を添加し、フミン酸・フルボ酸をフロックとして沈殿させます。特にフミン酸は高分子量であり、凝集しやすい性質があります。
  • 活性炭吸着
  • 活性炭の微細な孔に有機物を吸着させて除去します。粒状活性炭や粉末活性炭が使用され、水の色やにおいの改善に効果的です。
  • オゾン処理
  • オゾンは強力な酸化剤であり、フミン酸・フルボ酸を分解して低分子化し、その後の処理工程で除去しやすくします。
  • 膜分離プロセス
  • ナノろ過(NF)や逆浸透(RO)膜を用いて、物理的に有機物を分離します。高い除去率が得られますが、運転コストや膜のファウリング対策が必要です。
  • 生物処理
  • 生物活性炭ろ過などで、微生物によって有機物を分解します。ただし、フミン酸・フルボ酸は難分解性のため、効果は限定的です。

水処理プロセスへの影響と対策

フミン酸・フルボ酸は水処理プロセスにおいて以下のような影響を及ぼすため、対策が必要です:

    凝集剤の消費量増加
  • 有機物が多いと凝集剤の必要量が増え、処理コストが上昇します。最適な凝集条件を見つけるために、ジャーテストなどで検討します。
  • 膜ファウリングの促進
  • 膜処理装置では、有機物が膜表面に付着して透過性能を低下させます。予備処理で有機物を除去し、定期的な膜洗浄を行います。
  • 消毒副生成物の生成リスク
  • 有機物を十分に除去せずに消毒を行うと、トリハロメタンなどの有害物質が生成されます。事前に有機物を低減させることでリスクを軽減します。

まとめ

フミン酸・フルボ酸は、水中に広く存在する天然有機物であり、水の色やにおい、消毒副生成物の生成など、水質に大きな影響を与えます。適切な処理技術を用いてこれらの有機物を除去することで、安全で高品質な水の供給が可能となります。その特性を理解し、水処理プロセスにおいて効果的な対策を講じることが重要です。