生物処理(好気性/嫌気性)

汚染物質を分解するために、好気性(酸素を利用する)および嫌気性(酸素を利用しない)微生物を利用します。

主に有機物を微生物が分解し、最終的に二酸化炭素、水、エネルギーに変換します。

好気性処理としては活性汚泥法があげられます。汚水を曝気槽に送り、酸素を供給しながら微生物によって有機物を分解します。

嫌気性処理としては嫌気性消化法があげられます。密閉された反応槽内で微生物が有機物を分解し、メタンガスと二酸化炭素を生成します。生成したメタンガスはエネルギー源として利用可能です。

好気性微生物

酸素を利用してエネルギーを生成する微生物です。彼らは酸素が豊富な環境で活発に活動し、有機物を効率的に分解します。このプロセスを好気性呼吸といい、次の化学反応式で表されます。

有機物 + O2 → CO2 + H2O + エネルギー(ATP)

好気性微生物には多様な役割があり、それそれが役割を果たすことで水処理が成立します。以下に、主な好気性微生物とその役割を説明します。

1. 好気性細菌(バクテリア)
・Pseudomonas属:多様な有機物を分解する多用途細菌
・Nitrosomonas属:アンモニアを亜硝酸に酸化する硝化菌
・Nitrobacter属:亜硝酸を硝酸に酸化する硝化菌

2. 真菌(カビ類)
・Aspergillus属:糖類やセルロースを分解するカビ
・Penicillium属:糖類やたんぱく質を分解するカビ

3. 原生動物(プロトゾア)
・繊毛虫:バクテリアを捕食し、活性汚泥の質を向上させる
・鞭毛虫:動き回りながらバクテリアを捕食する

このように様々な微生物が混在する生物処理ですが、主な役割を整理すると次のようになります。

1. 有機物の分解:
多様なバクテリアや真菌が関与し、複雑な有機物をより小さな分子に分解します。

2. 窒素化合物の変換:
硝化菌がアンモニアを亜硝酸、そして硝酸に変換します。このプロセスは窒素除去に重要です。

3. 汚泥の安定化:
原生動物がバクテリアを捕食する過程で、微生物集合体(フロック)が形成されます。成熟したフロックは沈殿しやすくなり、これにより沈殿による固液分離が効率的に行われます。

これらの好気性微生物の活動を統合的に利用することで、効果的な生物処理が実現されます。適切な環境条件を維持することが、これらの微生物の活性を最大限に引き出すカギとなります。

活性汚泥法

下水や工業廃水の処理に広く利用される方法で、微生物の力を借りて水中の汚染物質を除去します。この方法をイメージしやすく説明します。

1. 曝気槽
汚水は大きな曝気槽に入れられ、酸素が供給されます。ここでは、微生物が活性化し、有機物を分解します。活性汚泥は、水中に浮遊している微生物の集合体であり、これが有機物を取り込み、代謝します。

2. 沈殿槽
曝気槽から出た混合液は沈殿槽に移されます。ここで活性汚泥が沈殿し、汚水から分離されます。沈殿した活性汚泥は「返送汚泥」として再び曝気槽に戻され、再利用されます。一部の汚泥は「余剰汚泥」として系外に排出されます。

3. 処理水
上澄み液が処理水です。この水は、微生物によって有機物が分解され、清潔な状態に戻っています。

嫌気性微生物

酸素が存在しない環境で生存し、繁殖する微生物です。これらの微生物は、酸素を使用せずにエネルギーを生成する代謝プロセスを持ち、主に有機物を分解して生息しています。嫌気性代謝プロセスは、以下のステップで進行します。

1. 加水分解
複雑な有機物(例えばタンパク質、炭水化物、脂肪)が分解されて、より単純な分子(アミノ酸、糖、脂肪酸)に変わります。

2. 発酵(酸生成)
加水分解産物がさらに分解されて、短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸など)、アルコール、ガス(CO₂やH₂)が生成されます。

3. アセト生成
発酵産物の一部(特にプロピオン酸やブタノールなど)がさらに分解されて、酢酸、二酸化炭素、水素に変わります。

4. メタン生成
酢酸が直接メタンと二酸化炭素に分解されるか、二酸化炭素と水素がメタンに変わるプロセスです。

嫌気性微生物には、メタン生成菌、硫酸還元菌、硝酸還元菌などが含まれます。これらの微生物は、特定の役割を持ち、それぞれの代謝経路で異なる段階の有機物分解を行います。

・メタン生成
有機物がメタンと二酸化炭素に分解されます。
CH3COOH → CH4 + CO2

・硝酸還元
硝酸塩(NO₃⁻)が亜硝酸塩(NO₂⁻)、一酸化窒素(NO)、亜酸化窒素(N₂O)、窒素ガス(N₂)へと段階的に還元されます。
C6H12O6 + 4NO3- → 6CO2 + 6H2O + 2N2

・硫酸還元
硫酸塩(SO₄²⁻)が硫化水素(H₂S)に還元されます。
C6H12O6 + 3SO42- → 6CO2 + 6H2O + 3H2S

メタン生成菌を利用した嫌気性消化プロセスでは、有機物を分解してメタンガスを生成し、エネルギー回収が可能です。例えば、多くの都市では、下水処理施設で嫌気性消化法を採用しています。これにより、下水汚泥からバイオガスが生成され、このバイオガスは発電や熱源として利用されます。生成された電力は、施設内で 利用されるほか、余剰分は電力会社に売電されることもあります。