活性炭

活性炭は非常に多孔質な物質で、1 gの活性炭の表面積は500~1500 m2/gもあります。

活性炭は水中の「有機化合物」や、消毒に使用される「塩素」、および「その副生成物」の除去に効果的です。

「非極性または低極性」の分子、「疎水性」の分子は活性炭に吸着しやすい傾向があります。

活性炭とは

活性炭は非常に多孔質な物質で、微細な穴が無数に存在します。この多孔質構造のおかげで、活性炭は様々な 分子を物理化学的に吸着する能力があります。この吸着は、まず吸着物質が細孔内に拡散しながら侵入し、吸着物質の界面で吸着固定されることで起こります。

一方で、細孔内に拡散侵入できない高分子成分(1000 Daオーダー以上)は処理対象になりません。そのため、これらの粒子径の大きな不純物は、凝集沈殿ろ過などの前処理が必要です。

活性炭の主な役割

活性炭はその高い吸着能力を活かして、様々な分野で幅広く使用されています。以下に具体的な実用例を挙げて説明します。

・水処理
飲料水の浄化に使用され、有機化合物、塩素、トリハロメタン(THM)、農薬、臭気物質などを除去します。これにより、水の味や安全性が向上します。

・空気清浄
空気清浄機のフィルターに使用され、揮発性有機化合物(VOCs)、タバコの煙、化学薬品の臭いなどを吸着します。これにより、作業環境の空気が正常化されます。

・医療
内服薬として、特定の毒素や薬物の治療に使用されます。内服することで胃腸内の有害物質を吸着し、体外への排出を促します。

活性炭に吸着しやすい分子の条件

分子サイズと形状
分子が小さく活性炭の微細な孔に適合する場合、吸着が容易になります。活性炭の多孔質構造は特定の分子サイズに最適化されています。大きすぎる分子は孔に入り込めず吸着されにくくなります。

低分子量の分子は活性炭の細孔に入り込みやすく効率的に吸着されますが、極めて低分子量の分子は揮発性が高く再放出されやすいことがあります。中分子量の分子は活性炭の吸着孔に適合しやすく、効率的に吸着される傾向があります具体的には、50~1000 Daの分子量の範囲が吸着に適しているとされています。

具体例
・アセトン(CH3COCH3)(58 Da)
・ベンゼン(C6H6)(78 Da)
・フェノール(C6H5OH)(94 Da)
・ナフタレン(C10H8)(128 Da)

これらの分子は、活性炭に吸着されやすい代表的な化合物です。活性炭の吸着性能は、分子のサイズ、形状、極性、疎水性など多くの要因に影響されますが、分子量は重要な指標の一つです。また、これらの例から分かるように、芳香族化合物は活性炭によく吸着されます。これは、芳香族環が活性炭のグラファイト構造(炭素原子が六角形に配列した層状構造)と相互作用するためです。

分子の極性と親水性・疎水性
極性の高い分子は電子の分布が均一でないため、電気的に部分的な正負の電荷をもちます。水(H2O)やアルコールは極性分子の例です。活性炭は非極性の特性を持つため、極性分子は水と相互作用し活性炭に吸着されにくいです。一方で、非極性分子または低極性の分子は、活性炭との相互作用によりよく吸着されます。

親水性分子は水とよく混ざる性質を持ち、疎水性分子は水と混ざりにくい性質を持ちます。親水性分子には水や塩類などが含まれます。これらの分子は水と強く相互作用し、活性炭への吸着は限定的です。疎水性分子には油脂、ベンゼンなどが含まれます。これらの分子は水と相互作用せず、活性炭によく吸着されます。これは、水が活性炭表面に対して疎水性分子を「押し出す」作用を持つためです。

揮発性有機化合物(VOCs)
揮発性有機化合物は、常温常圧で容易に蒸発する有機化合物のことを指します。VOCsは通常、小分子量の有機物で、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、クロロホルムなどがあります。VOCsはその低分子量と疎水性により、活性炭に効率的に吸着されます。

官能基
官能基は、分子の特性を決定する原子団のことです。以下にいくつかの主要な官能基とその活性炭への吸着特性を示します。

・ヒドロキシル基(-OH):
水素結合を形成しやすい親水性官能基。一般に、極性が高く活性炭に吸着されにくい。

・カルボキシル基(-COOH):
酸性の官能基で、水溶性が高い。極性が高く、活性炭への吸着は限定的。

・アミノ基(-NH2):
極性があり、水素結合を形成しやすい。吸着はしにくいが、活性炭の表面に改質を行うことで吸着が可能になることもある。

・アルキル基(例:-C3, -C2H5):
非極性の疎水性官能基。活性炭に非常によく吸着されます。

・芳香族環:
非極性であり疎水性。活性炭と非常に強い相互作用を持ち、効率的に吸着されます。

このように活性炭吸着は物理化学的性質に強く支配されます。